上土シネマミュージアムのオープン1周年を記念して、2025年7月19日(土)~22日(火)
昭和の大スター、高倉健・石原裕次郎らがフィルム映画でよみがえる!昭和名作映画 特別上映会を開催します。
当日はフィルム型映写機が動く様子を間近でご覧いただけます!
前売り券は下記サイトまたは上土シネマミュージアム店頭(営業時間:10:00~17:00)にてお買い求めください。

イベント詳細
開催日時: 2025年7月19日(土)~22日(火)
会場 : 上土シネマミュージアム 小ホール (松本市大手4-10-12)
料金 : 1上映につき500円
主催 : 一般社団法人 上土シネマミュージアム/国立映画アーカイブ
特別協力:松本市優秀映画鑑賞推進事業実行委員会/上土商店街振興組合/松本市文化観光部文化振興課/一般財団法人松本市芸術文化振興財団/上土大正ロマンのまちづくり協議会/文化庁/一般社団法人日本映画製作者連盟/全国興行生活衛生同業組合連合会/松竹株式会社/東宝株式会社/東映株式会社/株式会社KADOKAWA
◆タイムテーブル
7月19日(土)
14:00 暁の脱走(110分)
18:00 嵐を呼ぶ男(100分)
7月20日(日)
14:00 嵐を呼ぶ男(100分)
18:00 網走番外地(91分)
7月21日(月・祝)
11:00 人生劇場 飛車角と吉良常(109分)
14:00 網走番外地(91分)
7月22日(火)
11:00 人生劇場 飛車角と吉良常(109分)
14:00 暁の脱走(110分)
お申込み方法
前売り券は下記サイトまたは上土シネマミュージアム店頭(営業時間:10:00~17:00)にてお買い求めください。
下記、二次元バーコードからもアクセスしていただけます。

各回先着60名様ですので、お早めにお申し込みください。
上映作品

『暁の脱走』
1950年 新東宝
(白黒/スタンダード/モノラル/110分)
原作:田村泰次郎/脚本・監督:谷口千吉/脚本:黒澤明
出演:池部良、山口淑子、小沢栄ほか
肉体派文学を提唱し、一世を風靡した田村泰次郎による人気小説「春婦伝」を、監督デビュー3作目の谷口千吉が映画化した戦後反戦映画の代表作。敗戦間近の中国戦線で激しい恋に落ちた上等兵の三上(池部良)と慰問団の歌手・春美(山口淑子)は、敵の捕虜となって送り還されてくる。二人を迎えたのは数々の汚名と上官の嫉妬。軍曹の助けを借り、部隊からの脱走を試みる二人に、残酷な結末が待ち受けていた。谷口と黒澤明が共同で執筆した初稿シナリオは占領軍の検閲官により何度も書き直しを命じられ、難産のうえに完成を見た作品であったが、満洲映画協会のスター「李香蘭」として活躍していた山口をはじめ、中国で捕虜になった谷口、中国戦線に従軍していた池部、田村と、外地での体験を持つスタッフ・キャストの結集により、日本軍の非人道的な階級制度を激しく糾弾する野心作となった。「キネマ旬報」ベストテン第3位。翌年のカンヌ映画祭へ日本からの正式作品として出品されるとともに、香港および東南アジア諸国に輸出された戦後初の日本映画である。

『嵐を呼ぶ男』
1957年 日活
(カラー/シネマスコープ/モノラル/100分)
原作・脚本・監督:井上梅次/脚本:西島大
出演:石原裕次郎、北原三枝、芦川いづみ、金子信雄ほか
実兄・石原慎太郎の小説を映画化した『太陽の季節』(1956、古川卓巳監督)でデビューした石原裕次郎は、中平康の『狂った果実』(1956)や田坂具隆の『乳母車』(1956)など、新鋭、ベテラン監督の話題作に出演し、着実にスターの道を歩み始めた。港町を舞台にした『俺は待ってるぜ』(1957、蔵原惟繕監督)では、「ここではないどこか」を求める孤独な青年を、甘い感傷を交えて演じ、自らのイメージをスクリーン上に描き出した。また同名の主題歌もヒットさせ、歌う映画スターとしての出発とした。本作はその裕次郎のイメージを決定的にした記念碑的な作品である。1958年の正月映画として公開され、総配収3億5,600万円(当時の平均入場料62円)を超える大ヒットとなり、1954年に製作を再開した日活にとっても、その後を決定づけた作品である。監督の井上梅次は新東宝からの移籍組だが、裕次郎が指を負傷してドラムを叩くことができず、とっさにマイクを握って歌い始めるというツボを押さえた演出で観客を楽しませ、この一代の大スターの誕生を導き出した。

『網走番外地』
1965年東映(東京)
(白黒/シネマスコープ/モノラル/91分)
原作:伊藤一/脚色・監督:石井輝男
出演:高倉健、丹波哲郎、田中邦衛、嵐寛寿郎ほか
日本における映画観客数は1958年をピークに下降線をたどってゆき、時代劇映画の人気も徐々に陰りが見えはじめた。1963年、時代劇王国を築いていた東映は、時代劇からやくざ映画への転換を試み、やくざの意地や義侠心を描いたヒット作を次々と生み出して全国の若者たちを熱狂させた。なかでも高倉健は、「日本侠客伝」シリーズや「昭和残侠伝」シリーズをはじめ、数々のヒット・シリーズに主演して時代の寵児となる。本作は1965年から1972年の間に計18作が製作された「網走番外地」シリーズの第1作。極寒の網走刑務所に収監中の橘(高倉)は、妹や病身の母に再会することを夢見ながらまじめに服役しているが、悪辣な囚人仲間にそそのかされて脱獄計画に巻き込まれてしまう。橘の更正を手助けする保護司役の丹波哲郎、「アラカン」の愛称で人気を博した時代劇の大御所・嵐寛寿郎、そして個性的な演技で脇を支える田中邦衛など、魅力的な俳優たちの競演も見所。

『人生劇場 飛車角と吉良常』
1968年東映(東京)
(カラー/シネマスコープ/モノラル/109分)
原作:尾崎士郎/脚本:棚田吾郎/監督:内田吐夢
出演:鶴⽥浩⼆、⾼倉健、若⼭富三郎、藤純⼦ ほか
尾崎士郎の名作として知られる「人生劇場」のうち、特に「残侠篇」に焦点を絞って、巨匠内田吐夢監督が演出した作品である。青春の悩み、男女の愛憎、男の侠気、巡り会いなどを描いたこの小説は、きわめて映画的な題材であり、これまでに幾度も映画化されている。内田自身もすでに1936年に『人生劇場・青春篇』を発表、評価を得て、その年の「キネマ旬報」ベストテン第2位を獲得している。題材としては2回目の挑戦であったが、中心となるのは青成瓢吉や彼をとり囲む文学の世界の人間たちではなく、飛車角や宮川、吉良常といった侠客たち、おとよ、お袖といった底辺を生きる女たちである。本作の製作された時期、「任侠映画」と呼ばれる一連の作品群が量産され、大衆的な人気を集めており、この作品もその一本として企画されたものである。とはいえ、個々の演出は力感と格調にあふれており、ラストシーンに立ちのぼる霧などに付加されたイメージは内田作品以外の何ものでもない。今からふりかえれば、鶴田浩二、若山富三郎、藤純子、高倉健などこのジャンルにおいて一時代を画した俳優たちが、そろって出演している点も意義深い。「キネマ旬報」ベストテン第9位。